> 77 三鷹市W邸 2002/8/20
- 抑揚のある空間 -


 今日、開放的な空間であれば、全てが豊かな空間である
かの様な傾向がある。限りない開放性を求める場合もあれ
ば、一人で静寂を楽しみたい時もある。この「抑揚」が大事
なのだ。そこで、寝室=家族の個部屋を広さ・天井高を均質
で、ある程度囲まれた空間(開放することも可能にする。)
にして、家族の寛ぎと団欒の場のLDK(住む人の心構えに
もよる)を最大5mの天井高を持ち、ガラス張りの壁のない、
開放空間とした。
この空間の抑揚により、お互いの場の必要性・性質・用途を
強調する。
concept


- 外  観 -
exterior  RC造の地下・1階とS造の2階、構造体そのものがこの家のデザインとなる。
清潔感のある白色と、メタルの関係が、都会的、現代的なイメージを導く。
法規上、敷地の北と南で建物の最高高の差が出るので、勾配屋根が適当である。
しかし、安易 に計画すると、都市に蔓延する、
法規上やむを得ず計画した歪な形状の建築と同じことになっ てしまう。
そこで、プランニングから現れる自然な形状として、デザインした。 
結果、LD Kの巨大なガラスの空間が、都市に個性を発信する。
○ 外  壁
 イソバンドを使用することで、外装の意匠を決定付けると共に断熱性を向上させる。


- 地  階 -
b1_zu  地層の1.5~2.0mに自沈層が見られ、不同沈下などが気になる点である。 そこで、地下を浅く するプランでなく、あえてコストよりも優先して、深さを十分にとった。その代わり、階段状の上り 庭のような空掘りを設けた。(避難上も有効である。)その空掘りは、敷地の出っ張った場所を有効 に利用した。  外壁に沿って湧水パネルを使い防水・防湿に配慮した。(湧水パネル工法)

① 主寝室
 地下室でありながら空掘りへ向いた大開口が明るい部屋を創る。同時にプランを空掘りから一直線に することで、部屋に明暗が出来る。この「抑揚」を用途により、上手に使ってほしい。
b1
b1_concept
② 納  戸
 エクストラな空間を最大限に利用したもので、地下に配したことで、間接的に他の空間を豊かにする ことに寄与している。

- 1  階 -
1f_zu

① 玄  関
 限られた空間の中でも、あえて、十分に広い玄関+玄関収納を設けた。 それは、人が「住まう」際に、重要な場であると同時に軽視されやすい、 場である。このような空間が緊張感を無くし、生活に余裕を与える。
① 階  段
 建築家にとって階段とは非常にアーティスティックな場である。生活の中でも、繋ぐだけの空間にはしたくない。
そこで、壁面に大開口を設け、階段を強化ガラスとすることで、室内に光を導く「光の柱」とした。

○ 寝  室
 日本における寝室とは、書斎室、ホビールームなどの用途も内包している。これらは、個人の空間で あることには違いない。その空間は、広いにこしたことは無いが、用途に応じた「最小空間」使いやす さを生む場合もある。よって、寝室は、「抑揚」の中でも抑えた場とした。
③ 子供部屋⇔寝室(1・2・3)
 現在は個室が必要でない場合もあると仮定し、全ての部屋を一室とした。加えて、
ホール側を全て開放可能して、大きな空間を創った。この空間は、子供にとって、
非常にフレキシビリティーの高い空間であろう。更に、可動クローゼット(建築後に
作成したほうがよい。)の配置を変化させることで、子供の成長に合わせ、明確に
間仕切ることも出来る。
clo
br_kodomo2 br_kodomo
○ 水廻り
 建物の片側へ集中させることで、配管計画を簡易にして、コストダウンを図る。
mizu
④ トイレ
 2つ設置する希望であったが、今回面積のことを考え一つとした。ただし、 単純に減らしたわけではない。下述の方法によって、2つ目が必要なくなる からである。
・生活動線の中心に置くことと、来客者が室内の奥に入ることなく利用でき  る位置にすることで、全ての人が利用し易くする。
・タンクレスのものを使うことで、面積を小さくする。
・音と気分の上で好ましくないので、キッチンや寝室の上に設置することを避ける。

- 2  階 -
2f_zu

① トップライト
 プライバシーを保ちながら、寝室の採光を確保する。
② キッチン
 ダイニングテーブルと対面で作業が出来るので、閉鎖的にならず、
家族を繋ぎ止める。少し横を見れば、フロストガラスの階段スペースを
通して、地下・1階の家族の気配を感じることが出来る。学校から
帰った子供たちが2階の母へ声を掛けるのが、日常の姿になりそうだ。
 キッチンテーブルの端にフロストガラスの半透明な仕切りがある。
外側は、来客者の視線を遮る効果があり、内側は、壁の全く無いLDKに
どうしても必要な最小限の壁面を提供する。それは、電気のスイッチ類
・子供たちの絵・ホワイトボードなどのスペースである。
これも住宅における「抑揚」である。

kitchen
③ リビング
 階段を上りきるとガラスに囲まれ、開放的で巨大な単一空間が現れる。生活の中で一番動的な空間である。
外へ開かれた空間は、そのまま、テラスに繋がり、一体となっている。ちなみに、プライバシーが必要なときは、
シェードを降ろす。

④ ロフト
 約7.7㎡の広さがあり、子供たちの遊び場・収納・両親の思索の間など、住宅に文化的余裕を付加してくれる。
ldk_clear ldk_shade
ロフトからリビングを見下ろす。
サンシェードを降ろせば、プライバシーを確保できる。
terasu

    東京の設計事務所、柳田繁穂一級建築士事務所(墨田区)

  |  Works(作品集)一覧へ   |  この物件に対するお問合せはこちらまで。